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シリコーンバックプロテーゼによる豊胸術

シリコーンバックプロテーゼによる豊胸手術の概要

現在はコヒーシヴ・シリコーンといわれる、形状記憶型液体様シリコーンを利用したプロテーゼが一般的になってきました。従来のシリコーンプロテーゼは外側の袋が破れるとジェルシリコーンが体内に流れ出て、周囲組織に硬い変形をきたす事があったのです。しかし、コーヒーシヴ・シリコーンプロテーゼはこのような心配が全くありません。まるで寒天のような柔らかいシリコーンが形態を留めたままシリコーン製のバックに包まれているのです。万が一まわりのバックが破損しても、シリコーンが流れ出ることはありません。
酒井形成外科で使用しているコヒーシヴ・シリコーンバッグはFDA(米食品薬品衛生局)で許認可されているものを使用しています。
豊胸手術の概要は脇の下に4〜5cm程の切開を入れ大胸筋上、乳腺下、を大きく剥離しそこに空間を作り、組織拡張器(テッシューエキスパンダー)か直接コヒーシヴ・シリコーンプロテーゼを挿入します。組織拡張器(テッシューエキスパンダー)を挿入した場合、3〜6ヶ月後に通常のコヒーシヴ・シリコーンプロテーゼに入れ替えをします。
 

シリコーンバックプロテーゼによる豊胸手術の症例

 

シリコーンバックプロテーゼによる豊胸術の手術時間と術後の経過

内視鏡を使い注意深く乳腺の下、大胸筋筋膜の上を大きく剥離していきますので手術時間は3時間にもおよびます。麻酔は全身麻酔が基本です。
剥離範囲は狭ければ手術はとても簡単で時には1時間程度で手術を終わらせる事も可能でしょう。もちろん麻酔は局所麻酔や硬膜外麻酔の併用でもできます。しかし、術後の乳房が柔らかく自然なものを作りたければ、どんなに面倒でもじっくり広範囲の剥離が必要条件なのです。
その後、直接コヒーシヴ・シリコーンプロテーゼーを挿入するか、組織拡張器(ティシューエキスパンダー)を挿入します。
 
1)直接コヒーシヴシリコーンプロテーゼを挿入した場合
術後1週目より穏やかなマッサージを始めます。傷の抜糸は10〜14日後に行います。術後2〜3週間を経過するころからは、毎日しっかりマッサージを行います。術後やや腫れて大きく感じた乳房も2ヶ月ほどで計画した大きさになっていきます。
傷跡は2〜3ヶ月目がもっとも硬くなり赤黒く線状に目立ちますが、1年程度でわきの筋にまぎれこみ目立たなくなります。
マッサージはできるだけ瀕回に長期間続けましょう。
 
2) 組織拡張器(ティシューエキスパンダー)を挿入した場合
手術中にあらかじめ100〜200ccほど生理食塩水を入れ組織拡張器(ティシューエキスパンダー)を膨らませておきます。術後2週間程度経過し傷が落ち着いた事を確認した後、皮下に埋め込んだリザーバーに針を刺し生理食塩水を注入していきます。1〜2週間に1回100ccづつ注入量を増加させます。
 
皮膚や皮下組織は組織拡張器(ティシューエキスパンダー)が増大するごとに伸展増大します。注入量が1,000ccに達したら、マッサージを続け、しばらく組織が安定するのを待ちます。
 
最初の手術から3〜6ヶ月、皮膚や皮下組織が十分拡張するのを待って組織拡張器(ティシューエキスパンダー)を取出し、十分大きくなった剥離嚢(組織拡張器(ティシューエキスパンダー)が入っていた所で結合組織の嚢ができあがってる)にコヒーシヴ・シリコーンプロテーゼを入れ替えします。この手術は簡単で1時間程度で済みます。この剥離嚢のことをカプセルと呼びます。
この手術後1週間もすればマッサージを開始します。
 

シリコーンバックプロテーゼによる豊胸術のアフターフォロー

1日入院後、手術翌日に退院になります。退院後3〜5日に外来通院します。
医師による柔らかいマッサージの開始と消毒法を習います。その日の夜からシャワー浴が可能になります。また、バストバンドの着用を勧められます。これは手術後初期に多いプロテーゼの上方移動を防ぐものです。
術後10日で抜糸になります。このころより患者さん自身でマッサージをするように指導されます。術後2〜3週間後くらいから、毎日十分なマッサージをするようにします。
 

この手術の欠点と利点

プロテーゼを包むカプセルが拘縮をおこし硬くなる事があります。この場合「ポンポコリンオッパイ」と表現され、一般の自然なオッパイと異なります。改善するには再手術しかありません。また、プロテーゼの位置がおかしいと、オッパイと乳頭の位置がとても変な感じになる事があります。
はっきりいって脂肪注入の効果がほとんど期待できないわけですから、乳房(バスト)を大きくしたければ、これしか治療法は無いのです。
 
コラム 豊胸術後のフォロー

豊胸手術後は、プロテーゼが皮膜拘縮(カプセルコントラクチャー)を起さないように毎日定期的にマッサージをすることが大切です。御自分利き手で乳房の中のプロテーゼを外側へ強く押します。次に内側へ、そして上方、下方と押し込みます。続いて内回し、外回しとプロテーゼをまわして行くのです。片方5分程度で十分でしょう。
そして最も大切な事は美容外科の手術をしてもらった主治医のもとに定期的に検診に行く事です。手術をする医師を決める際、術後も定期的健診を指示しないような医師は選ぶべきではありません。豊胸手術では乳房部に異物を入れるわけですから、いろいろなトラブルをおこす可能性を否定できないからです。
多いものは、皮膜拘縮による乳房の硬化です。ぽんぽこりんおっぱい時にカプセレクトミーという皮膜切断術がフォローとして必要なこともあります。
さらにトラニラストの内服投与が著効を示す症例もあります。
次に乳がんの検診です。プロテーゼによって乳がんの発生に気付かないことも
あります。癌年齢に達したら美容外科の手術をしてもらった主治医に紹介状を書いてもらい乳がんの専門施設で検診を受けると安心です。形成外科主治医は単に形態の美容外科だけでなくこのような心使いもしてくれるはずです。
また、ハイテクな新製品もどんどん開発されるでしょうから、新しいプロテーゼへの交換ということも日常になると考えられます。そんな時にはすでにあなたの手術をしている主治医がもっともあなたの状態を知っていますから、スムーズな手術が可能でしょう。
例えば現在は生理食塩水バッグやCMCバッグは否定的ですから、学会等でも評判がすこぶる良い米国FDA認可のコヒーシブシリコーンプロテーゼに交換する症例が、酒井形成外科でも多くなりました。

 
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